「また今日も、自分の意見が言えなかった」
「波風を立てるくらいなら、私が我慢すればいい」
会議の場や、友人との会話、あるいは家族に対して。
本当は言いたいことがあるのに、喉の奥にグッと押し込んで笑顔を作ってしまう。
そんな風にして、一人になった時にどっと疲れを感じてしまうあなたに、ぜひ手に取っていただきたい一冊があります。
それが、武田友紀さんの著書『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』です。
この本は、人に意見を言うのが苦手なのは「あなたが弱いから」でも「勇気がないから」でもないのだと、優しく、そして論理的に紐解いてくれます。
意見が言えない本当の理由。それは「気がつきすぎる」から
人に意見を求められたとき、あるいは違う意見をぶつけられそうになったとき、頭の中が真っ白になってしまうことはありませんか?
本書では、そうした現象の根底には「他人の感情やその場の空気に気がつきすぎる」という繊細な気質(HSP)があるのだと指摘しています。
「今これを言ったら、あの人は機嫌を損ねるかもしれない」
「私が意見を言うことで、この場の空気が悪くなるかもしれない」
「相手は今忙しそうだから、声をかけるのは申し訳ない」
あなたが意見を言えないのは、決して思考が停止しているからではありません。
むしろその逆です。
相手の表情のわずかな変化や、声のトーン、その場の空気感など、膨大な情報を無意識にキャッチし、相手の気持ちを先回りして配慮しすぎているからこそ、言葉が詰まってしまうのです。
この事実を知るだけでも、「言えない自分はダメなんだ」という自己否定から少し解放されるのではないでしょうか。
「鈍感になれ」という呪縛からの解放
意見が言えなくて悩んでいると、周りからは「もっと図太くなりなよ」「気にしすぎだよ」とアドバイスされることが多いかもしれません。
しかし、生まれ持った「気がつくセンサー」を無理やりオフにしようとすると、かえって心は疲弊してしまいます。
著者の武田さんは、「繊細な気質を持ったまま、幸せに生きる方法がある」と断言します。
相手の感情に巻き込まれそうになったら、物理的な距離を取る。
「相手はどう思うか」ではなく、「自分はどうしたいか」を主語にして考える。
こうした「自分を守るための具体的なバウンダリー(境界線)の引き方」が本書にはちりばめられています。
他人の機嫌を取るために使っていた膨大なエネルギーを、まずは「自分の本音を大切にするため」に使ってみる。
それが、結果的に自分の意見を他者に伝える第一歩になるのです。
意見とは「戦うための武器」ではなく「自分を表現する手段」
人に意見を言うことを「相手との対立」や「論破」のように捉えてしまうと、恐怖感が先行してしまいます。
しかし、意見を言うことは、相手を否定することではありません。
「あなたはそう思うんですね。私はこう思います」
ただそれだけのことなのです。
相手がどう受け取るかは相手の課題であり、あなたが背負う必要はありません(これはアドラー心理学の「課題の分離」にも通じる考え方です)。
本書を読み終える頃には、「意見を言わなければ」というプレッシャーが、「少しだけ、自分の感じたことを外に出してみようかな」という軽やかな気持ちに変わっているはずです。
最後に
「気がつきすぎる」というあなたの気質は、決して直すべき欠点ではありません。
他者の痛みに寄り添い、場の空気を壊さないように配慮できる、素晴らしい才能です。
まずは、今日まで自分の本音を押し殺してまで周りを守ってきた自分自身を、たっぷり労わってあげてください。
そして、「他人のため」に使ってきたその素晴らしい想像力を、ほんの少しだけ「自分のため」に使ってみませんか?
『「繊細さん」の本』は、あなたがあなた自身の良さを失わずに、自分の足で立ち、自分の声で話すための、心強いお守りになってくれるはずです。