卒業ギリギリの末につかんだ、地元企業への就職。新社会人に待ち受けていたのは“しんどいこと”の連続
北海道の田舎町です。都会への憧れとかは特になかったので、大学も地元の近くを選びました。まあ、大学とは言っても何かやりたいことがあったわけではなく「とりあえず大卒の肩書きは持っておこう」くらいですけど(笑)。
ただ、そんな理由で進路を決めたから、授業にも一向に興味が持てなくて。ゲームをしたり友達と遊んだりして学校をサボり続けたら、いつしか単位がギリギリの状態に。早い人だと大学3年生くらいから始める就活も、僕は単位を無事に回収したあとの、卒業3カ月前からのスタートですもん(笑)。
──ギリギリですね(笑)。
まあそれでも、どうにかして地元企業からの内定をもらうことができました。結構大きな会社だったので、周りからは「ずいぶんいいところに就職できたね」と言われたくらいです。
ということで無事、社会人生活が始まったものの、僕はそれまでバイトすらしたことがなくて。毎朝決まった時間に起きることも、仕事内容を覚えて“働く”ことも、すべてがしんどかった。特にしんどかったのは、電話対応かな。
──いったい、なぜ?
その会社には金融部やら保険部やらあらゆる部署があったんですが、僕が配属された総務部はそうした部署宛ての問い合わせを一手に引き受けて取り次ぐところ。とはいえお客様はそんなことを知らないから、こっちが電話に出るなりいきなりあれこれ話してくるわけですよ。しかも中には最初から怒った状態でかけてくる人も(笑)。そうなるともう、そもそもの話の内容がわからないし、それをどこの部署に回せばいいかもわからないし、でも相手の話はちゃんと聞かなきゃいけないし……。1年もすればコツがつかめて普通に対応できましたけど、最初は苦労しましたね。
──それは大変。
どんな業務も慣れるまではしんどいですから。ただこの会社、定期的に部署異動があるので“初めての業務”はまだまだ続くという(笑)。
──それも大変。
ちなみに、最初の異動は総務部から物流部。倉庫作業みたいな感じであらゆる荷物を引き受けたり出荷したり、コンテナやダンボールをフォークリフトで運んだり……。身体を動かすことは好きなのでそういう点ではよかったけど、これまでの事務作業とはまったくの畑違いで、またイチからのスタートなのがしんどかった。
それでも仕事を覚えて業務に慣れて……って、そうやってようやく落ち着いてきたときに、またもやってくるんですよ。部署異動の季節が(笑)。
心地よかった地元が、いつしか窮屈に。自由な環境を求めて都会に来た男は、“興味があった”ナイトワークへ
──次の異動先は?
販売部です。会社が経営する資材屋で、店員としてレジ打ちや品出しを。ここでも業務内容はガラリと変わりましたが、何より大変だったのは接客かな。なぜなら「お客様は神様」の精神が根付いた会社だったので。
──というと?
「神様の言うことは絶対」だから要望はできる限り聞く。無理難題を言われてもどうにかして対応する。そういう感じで必要以上に敬って接するのが当たり前とされていたから、お客様と対等な関係を築けないことがつらかったです。
そんな環境の中でさらにつらかったのが、田舎町での生活。人口がすごく少ないからどこに行ってもお客様と遭遇するし、休日でもお構いなしに声をかけられることも多かった。でも神様だから無下には扱えないし……っていう場面が多すぎて、気を遣い続ける暮らしに疲れましてね(笑)。ちょうど部署異動のタイミングでもあったので、「もうこれ以上、こんな田舎でこんな仕事を続けるのは無理」と、8年で退職。都会を求めて、すぐに札幌に移り住んだわけです。
──その後は?
しばらくはニートを(笑)。貯金と退職金が割とあったので、半年くらいはゆっくりしたんじゃないかな。
で、いよいよ職探しを始めたものの、応募だ面接だとやりとりするのが面倒くさいのなんの……。
もう嫌だなって心が折れかけたそんなとき、急にナイトワークに応募しようと思い立ちまして。
──理由は?
前職の頃、お客様がよくすすきのの話を聞かせてくれていたし、僕自身も何度か行ったことがあったので、「今度はスタッフの立場から夜の世界が見たい」と興味が湧いて、夜職を探してみることにしたんです。
ただ業界のイメージ的には、激務、縦社会、休日なしの最悪コンボ(笑)。だからちゃんとしたお店を見つけるべく、くまなく調査を。休日がしっかり確保できて、給料も高くて、なんなら日払いまでしてもらえると書いてあった『ラブファクトリー』を選んだんです。
──ありがとうございます!
その結果は大正解。求人通りの高待遇なのはもちろんですけど、何よりうれしかったのはスピーディーな対応。だって応募から面接までの期間が2、3日くらいで、採用はその場で決まったんだから、いろいろと驚きましたね。
未経験で飛び込んだ夜の世界は、想像以上の働きやすさ。頼れる仲間の助けを得て、着実に“次のステップ”へ
──入社後の率直な感想は?
ストレスなく働けるので、「楽しい!」の一言かな。
昔は苦手だった接客も、今は楽しいですよ。うちのお店は“親しみのある接客”がカラーだから、立場の上下がない。もちろん大切なお客様ではあるものの、前職みたいに必要以上に気を遣わなくてもいいので、いろいろなご提案もできる。だからこそ、ご案内した方に「すごくよかったよ」とか「ありがとう」とか言ってもらえるとモチベーションもあがるし、やりがいにもつながります。実はこれ、前職にはあまりなかった体験なので(笑)。
──(笑)。
それと風俗店のスタッフは怖い人しかいないイメージだったけど、全然そんなことはなくて、みんな普通に優しい人ばかり。わからないことがあってもすぐに聞けるし、聞いたらなんでも教えてくれる。先輩スタッフのフォローも手厚いから、大きなミスにもつながらない。ありがたい環境ですよね。本当に働きやすい、いい職場だと思います。
──素敵です。ちなみに、現在の仕事内容は?
接客や電話応対などの店舗業務もしますが、メインは物品補充ですね。“備品担当”として、お店で使用する歯ブラシやイソジンなどの補充や在庫管理をおこなっています。
というのも、『ラブファクトリー』では基本的な仕事を覚えたあと、それぞれにメイン業務が割り振られるんです。で、その業務への理解度が深まったら、別のメイン業務を担当するという感じ。1つひとつの仕事をしっかり覚えながら次のステップに進めるので、着実に成長していけるのがうれしいですね。
いずれはすべての業務を完璧に覚えられるように、がんばっていきますよ。
──応援しています。
ありがとうございます。とまあ今はこんな前向きなことばかり言ってますが、何を隠そう、入社当初の僕は不安だらけでしたからね(笑)。「どんな仕事をするんだろう」「どんな人と働くんだろう」みたいな。
だからこそ、あの頃の僕と同じように、ナイトワークに対して不安を抱える人に伝えたいことがあるんです。
──どんなことを?
「まずは話を聞いてみたら?」っていう。聞いてみた結果、無理だなと思ったらやめればいいだけ。まずは面接だけでもいいので、興味があるなら一歩踏み出すのもアリかなと思います。
それに、特に難しい業務はないので、基本的に誰でも働けるはず。そういう意味でもいい仕事ですよ(笑)。